N-Wave VOL.116
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6 会長インタビュー 46京都迎賓館に使用された和紙日野 京都迎賓館で使われている和紙も澤村さんの漉いたものだとお聞きしましたが。澤村 5000枚作りました。15年程前に、5000枚漉いて、今200枚か300枚ずつ替えの注文が来ます。どこかが傷んでくるからでしょう。日野 5000枚はどれぐらいで。澤村 半年かかりました。日野 半年でも早い。すごいです。澤村 昔は1人じゃなしに、家内もおったから。迎賓館の仕事が来たときも、何も知らずにおったら、なんかしら今年は見本をようけ取りに来られるなと思っておったんです。10月になったら1000枚の注文が来て、それを漉いていったらまた1000枚。というふうに、春までに5000枚作ったんです。今まで100枚200枚の注文は来たことはあるけど、1000枚も注文が来るということは、なんかしらんけど不思議に思うんですがって聞いたら、「澤村さん、そこまでおっしゃるなら本当のことをお話しします」と。全国の和紙を全部調べてまわったんだって。障子紙やなんかでも、試作をふた月も三月もずっと半年ぐらいやってたらしいんだよね。おたくの紙がいちばんいいから注文をします。ポッてきて初対面のやつにポンと注文された。びっくりしたんですよ。完成したときに、家内と一緒に京都迎賓館に案内されたんですよ。家内を連れて、150人ぐらい入れる大部屋に案内されて、所長さんが「澤村さんがみえましたから照明をおろして」って。そこに和紙「和わ凧だこ」の連れん凧だこのような3段の笠が降りてきて、こういうふうにつくってある。だいたいこっちから見ると1メートル四方かなと思ったけど、おそらく100くらいあったのかな。それが1列おきに1メートルくらい降りてきたんだよ。そして明かりをパーッとつけた。そしたら家内が、 「私が漉いた紙があんなふうに。うれしいで」と涙こぼして喜んだ。本当に感激していました。日野 それは感激ですよね。澤村 その天井は和紙を1000枚は使ったと思うんで叩き槌(つち)・紙打ち石塵取り後の原料をほぐすために使う道具。③塵取り(ちりとり)煮熟した白皮を熟練した人の手で、1本ずつ清流に浸しながら塵や傷を取り除きます。わずかな不純物も残らないように、この作業を2度繰り返します。②煮熟(しゃじゅく)繊維を軟らかくするソーダ灰を入れた湯に白皮を重ならないように入れ、約2時間煮ます。火を止めてから2時間ほど蒸らし、繊維を落ち着かせます。④叩解(こうかい)独自の形をした丸槌で手打ちします。本美濃紙特有の形で、打つ面には菊のような模様が入ります。⑥乾燥十分に水分をしぼり出した後、木目の少ない栃の板に貼り付け、天日で乾燥させます。日光で紙が自然漂白され、上品な艶と色合いを持つ本美濃紙の風合いになります。⑦選別乾燥の終わった紙は、厚さだけでなく、紙の色合いや地合によって厳密に分類されます。陽に透かされて鑑賞される最高級品の本美濃紙を保つためには欠かせない作業です。⑤紙漉き縦揺りにゆったりとした横揺りを加えるのが特長です。楮の繊維が縦横に整然と絡み合い、美しい地合が作られます。馬鍬(まぐわ)漉き舟に入れた紙料をかきまぜる道具で、繊維を分散させるために用います。漉き舟・簀・桁(すきふね・す・たけ)紙をすくための道具。刷毛(はけ)紙を乾燥機などに貼り付けるための道具。澤村 正さん(写真右)15歳より家業を継ぎ、現役を続ける和紙職人。国重要無形文化財、本美濃紙保存会名誉会長。平成16年 旭日双光章受章。主に本美濃紙、京間書院紙を製作。京都迎賓館海外からの賓客を心をこめてお迎えし、日本への理解と友好を深めてもらうための国の施設。国公賓の迎賓施設として、東京にある国宝の「迎賓館赤坂離宮」に次ぎ日本で2つ目の建造物として2005年4月に開館。藤の間迎賓館で最も大きな部屋で、晩餐会や歓迎式典の会場として使用されています。澤村 正 氏が漉いた本美濃紙5,000枚が、京都迎賓館の回廊、藤の間などの障子や照明器具として使われました。出典:内閣府迎賓館ウェブサイト 京都迎賓館 https://www.geihinkan.go.jp/kyoto/

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