N-Wave VOL.116
4/28

岐阜県美濃市 美濃和紙の里会館と澤村正氏の工房を訪ねて 3美濃和紙の歴史について日野会長(以下 日野) 早速ですが、正倉院に保管されている戸籍用紙が日本最古の紙であり、その一部がこの地で漉かれた美濃和紙とのことですが、その歴史について教えていただけないでしょうか。清山健館長(以下 清山) 歴史を見ると、古代奈良時代には、律令制〈※1〉により戸籍等が整備されていたようです。そのときに紙が必要となるわけですね。古代の各国、伊勢国、武蔵国とか。日本中のそれぞれの国で戸籍の紙をつくることになるわけです。古事記〈※2〉がつくられたときには、もう日本中に紙があったと考えていいと思います。少なくとも1300年の歴史があるということです。日野 記録するには紙が必要となりますからね。清山 役所でいるからなおさらですね。その中でなぜ美濃かというと、紙の質が大変優れていたということなのです。美濃国の国府(国を治めていたところ。今でいう県庁所在地)が現在の不破郡垂井町あたりにあり、紙をつくるところがあったのです。中央官庁の色々な部署があったわけです。そこでは原料の良いものが取れ、技術も素晴らしかった。それがこの西濃地方からしだいに中濃地方、そして美濃市にも伝播してきます。やはり故事として伝えられていますが、和紙の原料となる質の良い楮こうぞがたくさん穫れたところであり、それでここに紙漉きが根付いたのではないかと言われています。また、始祖伝説もあり、8世紀とか10世紀に紙漉きを始めたという伝説も残っています。美濃の伝統をたどると、この国の紙漉きが(全国に)流れてきているので、1300年の伝統をたどることになりますが、果たして、ここで最初に紙を漉いたのは何年かといわれると実際にはそれはわからないのです。美濃の町の歴史日野 古くから紙漉きが行われていた美濃には高山や飛騨に似た立派な町並みがありますね。清山 町づくりは高山や飛騨と同じですね。関ケ原合戦の功により、金かな森もり長なが近ちか公が佐藤家の旧領を家康に懇願、許しを得て領主となったのです。隣の関市は早くから大名がいなくなります。良質な楮が長良川のもう一つの支流、津保川の上流に向かってずーっと穫れるんですけど、そこの流通を関の手前で止めて、全部美濃に入ってくるようにし、商人も町屋に連れてきて、配置して町をつくりました。紙をはじめ物流が整備されて、豪商がうだつ〈※3〉の上がる町並みをつくったというわけです。町には元紙問屋だとか大きな建物があります。国の重文の建物になっている小坂家という酒蔵もありますが、あの町並みの多くは紙で儲けた町並みだと思います。日野 舟で桑名まで運ばれそこから全国へと美濃和紙は流通していったのでしょうね。湊跡地には灯台のあともあるようですね。こちらにお邪魔します前に「うだつの上がる町並み」を通ってきたのですが、立派な商家が揃い並んでいて当時はかなり裕福な町だったというのが分かりますね。いい楮があり、いい水があり、そして高い技術があったから、全国で美濃和紙が売れ栄えたのでしょうね。本ほん美み濃の紙しは重要無形文化財に指定されていますが、その要件などについて教えていただけないでしょうか。本美濃紙とは清山 まず原料は楮のみであることが大前提で、伝統的な製法と製紙用具によることです。細かい指定要件をいいますと白しろ皮かわ〈※4〉作業を行い、煮しゃ熟じゅくには草木灰またはソーダ灰を使用することや薬品漂白は行わず、てん料を紙料に添加しないこと。叩こう解かいは手打ちまたはこれに準じた方法で行うこと。また抄しょうぞう造は、「ねり」にトロロアオイという植物を用い、 「かぎつけ」または「そぎつけ」の竹たけ簀すによる流ながしずき漉〈※5〉であること。そして板干しによる乾燥であることなどが指定されています。日野 トロロアオイとはどういうものですか。清山 紙を漉くときには原料の楮と一緒にトロロアオイの根っこを潰して抽出した液を入れるんですね。それが「ねり」っていって紙の原料をバラバラにするんですが、入れ美濃和紙の里会館長良川鉄道美濃市駅から乗り合わせタクシー「のり愛くん」で20分「のり愛くん」予約受付専用番号:0575 ‒ 33 ‒ 1231受付時間:運行日の午前8時から午後5時30分まで(ただし午前8時から午前8時30分までの利用は前日までに予約が必要)東海北陸自動車道「美濃インター」から国道156号線及び県道81号線経由で約20分滋賀県三重県奈良県大阪府和歌山県長野県富山県石川県福井県岐阜県愛知県静岡県大阪奈良美濃和紙の里会館うだつの上がる町並み至 洞戸板取川新長瀬橋至 郡上至武芸川至名古屋至岐阜至 豊田至 関美濃関JCT長良川美濃I.C至 高山東海北陸自動車道長良川鉄道新美濃橋美濃市駅美濃市役所山崎大橋東海環状自動車道文化会館R156号線N美濃和紙の歴史や技術、和紙の素晴らしさや未来への可能性を、さまざまな視点から紹介しています。紙すきの実演見学や体験も出来る施設です。⃝住  所:〒501-3788 岐阜県美濃市蕨生1851番地3⃝電  話:0575-34-8111⃝開館時間:AM9:00~PM5:00 ※入館は、閉館時間の30分前まで⃝休 館 日:火曜日(火曜日が祝日の場合はその翌日) 祝日の翌日      年末年始(12月29日~1月3日)⃝入館料/体験料:大人500円 小中学生250円 紙すき体験料1回500円

元のページ  ../index.html#4

このブックを見る