N-Wave VOL.116
18/28

フォトグラファー 神奈川県平塚市出身。中央大学文学部フランス文学専攻、名古屋ビジュアルアーツ写真学科卒業。JPS(公社)日本写真家協会 会員雑誌・書籍・webで広告からドキュメンタリーまで幅広く撮影。大学・専門学校などでの講師や審査員も担当。写真家として様々なテーマの作品を写真展や媒体で発表。写真という手段で世の中と関わり、多く方々のお陰で生かされていることを実感しています。浅岡恵の世界写真紀行 6トルコはエジプト王国、ローマ帝国を経て、諸説ありますが5世紀ごろに西ローマ帝国滅亡により東ローマ帝国(ビザンツ帝国)の首都としてコンスタンティノープル(現イスタンブール)が栄えました。当初のギリシャ正教会としてコンスタンティノープルに建てられた象徴がアヤソフィアです。その後のオスマン帝国時代にはイスラム教モスクとして改築を繰り返され、近年では博物館として人気の観光地として愛され続けていました。しかし2020年7月にエルドアン大統領により世界遺産「アヤソフィア」を無宗教の博物館からモスクに変更すると発表があり、時代に翻弄され続けている建築物だと言えます。変遷と共に形を変えながら現在のイスタンブールは旧市街と新市街、そして歴史的な文化と新しい文化が交差する場所としても世界から愛されているのでしょう。イスタンブールの朝はジャーミー(モスク)から聞こえてくるお祈りの声と共に始まります。世界遺産に登録されているイスタンブール歴史地区は観光地として知られていますが、一歩入ると人々の日常があり、路地猫にも会えるかもしれません。イスタンブール散歩の定番は旧市街と新市街、そして船でヨーロッパ側とアジア側を行き来することです。交通手段はトラム、バス、船を乗り継ぐと名所への移動は難しくありません。初めての訪問ならば空港でイスタンブールカードを購入し、自販機やキオスク(売店)でチャージするのが便利です。キオスクの屋根の看板には「istanbulkart」の目印もありますので、「イスタンブールカード」と言うとチャージしてもらえます。また乗車券を都度購入するよりもかなりお得です!まずは歴史地区を見学、旧市街のランドマーク、ブルーモスクの名で親しまれているスルタンアフメット・ジャーミーはオスマン帝国第14代スルタン・アフメット1世の命を受け、メフメット・アーの設計で1609年~1616年に建造された『世界で最も美しいモスク』と評判の壮大なオスマン朝の傑作です。ステンドグラスとイズミックタイルの織り成す内部は必見です!イスラム教の規定でモスクに入るときの女性の服装には制限があり、また頭にはスカーフを被らなくてはなりませんのでご注意ください。スルタン・アフメット広場を東に行くとアヤソフィアの門に続きます。西暦325年にコンスタンティヌス1世の時代に教会の建築が始まり、2世の時代になって完成しましたが、幾度の焼失を受け、537年には皇帝ユスティニアヌスの命を受け現在のビザンツ様式の大聖堂が完成しました。その後15世紀にスルタン・メフメト2世により聖堂はジャーミーに変えられましたので、大聖堂とモスクの美しさを併せ持っています。アヤソフィアの東側に国立考古学博物館、トプカプ宮殿と見どころ満載です。近隣には巨大なジャーミーが点在していますが、その中でも穴場なのが問屋街の奥にひっそりと佇むリュステム・パシャ・ジャーミーです。庭に面した外壁、内部の壁、柱やミフラブ(祭壇)に至るまで400年前のイズミックタイルが覆いつくし、チューリップやカーネーションのモチーフが美しいタイルはイズミックタイル最盛期の最高傑作と言われています。歴史建造物に感動した後は、2つの大きなバザール(市場)へ、巨大なグランバザールは衣料、雑貨などが充実し、エジプシャンバザールは香辛料やドライフルーツなどの食料品が豊富です。歩き疲れたらチャイハネ(茶館)で休憩です。木々が美しい屋外のソファで頂く甘いトルコ紅茶のチャイはまた格別。元気が出たらガラタ橋を渡って新市街へ、そしてボスポラス海峡を渡ってアジア側へとイスタンブールの旅はまだまだ続きます。作者から一言 東京ジャーミー(渋谷区)はトルコの資材でトルコの職人によって建設されたモスクです。海外に出ることが難しい現在、近くのトルコに足を延ばしてみてはいかがでしょうか?PROFILE浅岡 恵Megumi Asaoka「トルコ共和国・イスタンブールの旧市街から」─アジアとヨーロッパの狭間の街で歴史時間旅行─17

元のページ  ../index.html#18

このブックを見る